少し日があきましたが、跨線橋の高さについての続きです。
規程によれば架線の高さは5m〜5.4mということですから、1/87にして小数第二位四捨五入すれば57.5mm〜62.1mmとなります。架線の高さ=集電装置の上昇高さと考えれば、この範囲で上がるようになっていれば良いことになりそうです。一方、跨線橋下などでは架線の最低高さは4550mmで1/87にすれば52.3mmとなりますが、これは架線で上昇高さを抑えている動作となり、架線を張らないような模型ではこの高さにはできません。したがって、通常の上昇状態で跨線橋が通過出来るように高さを設定する必要があります。
手持ちの電車の集電装置上昇高さを測ってみることにしました。しかし、上昇したパンタのレール面からの高さを測るのは、なかなか難しい。小型のトースカンを使ってみることにしましたが、測定点の先が短くて届かないので、真鍮線で延長してみました。少し弾力があるので、押さえつけないように測る必要があります。
東急3450 測定中
東急3450 63mmくらいでしょうか
日立モハ13
日立モハ13 63mm
自分の好みで高めに上がるように調整していますが、規程の架線高さ以上になってます。上昇高さ=架線高さとするなら上がりすぎですね。
クモハ123-1 辰野側
クモハ123-1 辰野側 58mm こちらは範囲内です。
クモハ123-1 塩尻側
クモハ123-1 塩尻側 56mm こちらは低すぎですね。
両側で2ミリ程の差があります。目で見てもわかります。58mmに揃えましょう。
そういえば中央本線の小断面トンネルでは架線高さが4200mmです。1/87で48.3mmですか〜。まあトンネル内走行中の高さに合わせなくてもよいですね。
銚子電鉄 デハ101 ビューゲルも測ってみました。実物は真上に上昇し架線を押し上げるようにして転向します。模型ではビューゲル根元の回転軸穴で上昇制限と転向をコントロールする構造です。
銚子電鉄デハ101 63mm 少し高めです。
銚子電鉄デハ101 反対側
銚子電鉄デハ101 61mm エッチングの一枚板なので、反ったりして高さが変わります。
さて、車輛限界と建築限界ですが、測定用ジグが販売されていました。作られていたクラシック・ストーリーさんが亡くなりましたので過去形です。
クラシックストーリー 車両・建築限界 1/87用
アクリル板をくりぬいたものです。左が車輛限界、右が建築限界
このパーツでは車輛限界の高さは5650mm÷87≒65mmでカットされています。架線高さの5400mmではないところが注意です。
建築限界の高さは5700mm÷87≒65.5mmとなっています。
クラシックストーリー 取扱説明書が入っています。
コレを使って高さが限界内かどうかを測ってみました。
銚子デハ101 クリアします
東急3450 高さはクリアしますがシューの幅が際どいです。
日立モハ13 こちらも高さはクリアですが、シューの幅がアウトです。でも建築限界にはかかりません。
クモハ123は測定していません。
建築限界の高さでは65.5mmあれば、車輛限界を守った集電装置は通過できることになります。
1月26日の運転会における山背鉄道の跨線橋では、レール面から61mmの設計で作られたということです。作者の意向としては、できるだけ低くしたい、という希望です。しかし61mmでは車両限界内での上昇高さを守っていても、跨線橋が通常の建築限界より低いので、パンタグラフは跨線橋に当たってしまいます。実物的には建築限界の許容範囲で、架線で高さを押さえる形になりますが、模型では問題が生じてしまいます。模型でも跨線橋の部分だけ架線を張るようにするか、跨線橋の高さを通常の車輛限界をクリアできる高さにするかになります。架線を張るのは跨線橋の外観に影響するし、模型のパンタが各種ある中で、架線をうまく通過するか難しいところです。架線を張ってもホームに置いただけの跨線橋では、パンタが入ってきたら摩擦で支障がおきそうです。
そんなわけで、レール面上で66mmあれば車輛限界規程を守った集電装置つき車輛が通過できる高さ、ということになりそうです。これより高いのが走るときは跨線橋をはずしましょう…。
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