鉄道の日、ということで琴電の1014を貼ろうかと考えましたが、気を取り直してまずは原点の画像から。
2019年12月8日撮影
さて、新橋−横濱間が正式開業した時の列車ダイヤはどうなっていたでしょうか。
創業当時列車運行計画を担当していたページさんは、秘密裏に列車ダイヤを作り、そこから読み取った時刻表だけを現場に提供していたようです。なので開業時のダイヤは文書保管されてないですね。
しかし、提供された時刻表は史料として残っており、大正出版から「史料鉄道時刻表」として出版掲載されています。またネットで検索すると、国会図書館の「近代デジタルライブラリ」に鉄道開業時の時刻表があります。
国会図書館の「近代デジタルライブラリ」より引用
縦書きで漢数字12時間制で書かれ、「午前八字」「三字十七分」のように、「時」ではなく「字」が使われています。新橋−横濱間で駅は全部で6ヶ所、この時刻表からは駅間距離はわかりません。この時刻表から直接ダイヤを作っても良いのですが、わかりやすくするため一旦横書きアラビア数字表現の時刻表にしてみます。
上下列車とも8時以降ジャスト0分の発車になっており、新橋−横濱間の所要期間は53分で、1日9往復。当時の新橋駅は元の汐留駅、横濱駅は現在の桜木町駅にあたります。
開業当時は単線の線路だったので、新橋と横浜を同時に発車した列車は、どこかの駅で行き違い、いわゆる交換をすることになります。時刻表を見ると、各時間帯の上下列車は川崎駅の発車時刻が同じであり、川崎駅で交換を行うようになっていました。この時刻表データをもとに列車ダイヤを書いてみると下記のようになります。
すべての列車が川崎駅で交換していたことがわかります。12時〜14時の間は列車の設定がありません。職員の休憩や機関車の点検整備をしていたのではないかと思われます。
列車運行をもう少し詳しく考察してみます。川崎駅での交換では発車時刻しかわからないので、上下列車が同時刻に到着発車するような書き方になっています。この列車交換停車の時間に関して、「史料鉄道時刻表」に岩倉使節団が乗車した列車の史料があります。その中に、川崎で品川行き列車を五分待避して行き違いを行う意の表記があります。
列車運行をもう少し詳しく考察してみます。川崎駅での交換では発車時刻しかわからないので、上下列車が同時刻に到着発車するような書き方になっています。この列車交換停車の時間に関して、「史料鉄道時刻表」に岩倉使節団が乗車した列車の史料があります。その中に、川崎で品川行き列車を五分待避して行き違いを行う意の表記があります。
史料鉄道時刻表 から引用
品川−横濱で80分かかっています。試運転が行われていた時期らしいですが、開業後の定期列車に比べると遅いです。
ともあれ、これを根拠として川崎での交換停車を5分の設定とし、川崎駅の時刻を毎時21分着26分発と設定してみます。
このダイヤで列車は何編成必要か考えてみましょう。
創業時の列車は編成そのままを往復運用しており、両端の駅では53分着の00分発ですから、7分で折り返せば2編成で運用が可能です。しかし旅客の乗降や機関車の機回し、転車台での転向、連結して仕立てるには7分での折返しは厳しい時間です。牽引してきた機関車は切り離して留置、別の機関車を進行方向につないで仕立てる方法もありますが、前掲時刻表には「乗車セント欲スル者ハ遅クトモ此ノ表示ノ時刻ヨリ十分前ニ(ステイション)ニ來タリ切手買入其他ノ手都合ヲ為スヘシ」と乗客の行動規定を書いてますので、7分折返しではなく、もう少しゆとりを持って運用していたのではないかと考えられます。これらから、2編成で直近時刻での折り返し運用ではなく、1時間7分折返しとして都合4編成の運用と考えられます。
一方、当時の機関車と客車の数は、軸配置1B形の蒸気機関車が10両、2軸で全長5〜7m程度の客車が総数58両、貨車は75両、すべてイギリスから輸入されました。乗降場(ホーム)長さは新橋152m、横浜101m、中間駅76mで作られており、12両連結程度まではホームで乗降可能。
一方、当時の機関車と客車の数は、軸配置1B形の蒸気機関車が10両、2軸で全長5〜7m程度の客車が総数58両、貨車は75両、すべてイギリスから輸入されました。乗降場(ホーム)長さは新橋152m、横浜101m、中間駅76mで作られており、12両連結程度まではホームで乗降可能。
当時の客車は手動扉で係員が外から施錠していたので、到着から乗客の乗降、閉扉確認して発車となるので、各駅の停車時分もそれなりに必要となります。この停車時間を2分と設定し、4編成運用でダイヤを書いてみます。
当時の新橋−横濱間の距離は29kmで所要時間53分
表定速度 29÷53×60=32.8km/hです。
停車時間が合計11分あるので、53−11=42分が実走行時間です。
平均速度 29÷42×60=41.4km/hとなります。
平均速度 29÷42×60=41.4km/hとなります。
比較的平坦な京浜間と思われますが、Bタンク蒸機で2軸客貨車十数両牽引でこの速度は結構速い?
鉄道百年1972年時刻表の京浜東北線、新橋−桜木町間の営業キロは28.9kmで開業時とほぼ同じ。途中11駅停車で37分走行、
表定速度は28.9÷37×60=46.8km/h やっぱり103系でも電車は速い。
お土産品です。
ちょっと気になって明治村の蒸気機関車は機回しに何分くらいかかっているのか、動画を上げているところなどを見てみると、手動転車台での転向も1分程度で行われています。結構短時間でやってますね。牽引してきた機関車を切り離して、反対側に別の機関車を連結する方法なら同時進行も可能なので、7分折り返しで2編成運用をやっていた可能性もあるかなぁと考えてます。
参考資料・サイト
史料鉄道時刻表 大正出版
新日本鉄道史[上] 川上幸義 鉄道図書刊行会 1967年
日本国有鉄道百年写真史 日本国有鉄道 1972年
陸蒸気からひかりまで 片野正巳 赤井哲朗 機芸出版社 1965年
日本国有鉄道百年写真史 日本国有鉄道 1972年
陸蒸気からひかりまで 片野正巳 赤井哲朗 機芸出版社 1965年
鉄道保安要史 久保田 博 鉄道ファン
国会国立図書館デジタルコレクション 法令全書 明治5年 出版者:内閣官報局
マイナビニュース のりもの 列車ダイヤを楽しもう
国鉄監修 時刻表 日本交通公社
タグ:ダイヤ
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